健康農園さんのこと

阿蘇山塊のふもとに位置する菊池市の米どころ七城に健康農園さんの田んぼはあります。


その阿蘇からの伏流水を引いた3町、9000坪の田んぼで、健康農園さんは無農薬でひのひかりを育てておられます。化学肥料を使うことはありません。

健康農園さんの田んぼには鈴虫やゲンゴロウ、スッポンやオケラカブトエビなどがうじゃうじゃいます。


あの懐かしい日本のふるさとがそこにはあります。

ただし、健康農園さんの栽培法は自然栽培ではありません。


お米を研究し続けてきた堤公博さんは自然栽培では土が痩せてしまい、次第に栄養価が落ちて味も劣化するとの結論を得たのだと言います。品種改良していない自然米も味が昔風で決して現代人の口を満足させるものではない、というのです。健康は当たり前、そのうえで美味しいという満足感につながらない食べ物では人生を彩る大事な食を担いきれない、というのが堤さんの考えです。そこで堤さんが辿り着いたお米の栽培法は徹底的に手をかけることでした。何度も失敗を重ね、試行錯誤の末、やっと得た成果ですが、その効果は想像以上の味わいを生み出したのです。


健康農園さんのお米栽培の特色は2つ。1つは水に海水のにがりを投入することで、水を生命の母体である海の状態に近づけること。カルシウムとミネラルが豊富なにがりがお米をきちんと成育させます。一時はあまりにも生育が過ぎたり、虫が来すぎてお米が立ち枯れしたりと、散々な結果に泣かされたこともありました。しかし、今では丁度いい量、投入時期などを会得しています。

次いで2つ目はぼかし肥料の使用です。ぼかし肥料とは有機肥料を微生物によって発酵させて原型をぼかすところからその名がつけられたといいます。健康農園さんの独特の方法ではまず山に入り腐葉土を採取、そこに乳酸菌等の菌を混ぜ込んで、さらにマグネシウム含有量が多い苦土石灰をも投入、時間をかけて発酵させます。その結果窒素分の豊富な肥料が出来上がり、植物が吸収して効率よく使えるアミノ酸として取り込むことができるようになるのです。それがぼかし肥料です。まずはお米生育の土台となる土を育てるのです。その結果、堤さんのお米は全国食味コンクールで金賞を受賞するほどになったのです。

健康農園堤公博さん、野田哲詩さんのこと

健康農園は堤公博さんが始めました。はじめはJAにお世話になっていた農家だった堤家。しかし、なんでも工夫を極め、究極を求めてしまう堤さんは通常の農法に疑問を抱き、無農薬のお米作りに挑もうとし、お父さんと激しく対立します。「そんなことで米がとれるか!」と怒鳴りつけられながらも勝手な作り方をして翌年味覚コンクールで日本1になり、お父さんを引き下がらせてしまいました。

そこからお米作りに本格的にのめり込み、やればやるほど奥が深いこと、新しいテーマが出てくることに快感を覚えた堤さんは次々にビジョンを思いついてしまいます。欲しいもの、売りたいもの、売れるもの、それらの課題をクリアしていきながら、次第に新しい農業とは何か、農業の目指すものとは何か、思索を深めていったのです。

農家も利益は得なければならない、しかし人の食の安全は守る、そして生きる喜びである味を極めていく。そのため時には水に隕石を投入して効果を見たり、お米を使った加工食品の開発、加工工場の構想など、今でも堤さんはチャレンジを続けています。


しかし最近は熟年世代とはいえ、残された時間に不安を抱くようになった堤さん。後継者の育成の必要性を痛感していました。そんなところに現れたのが野田哲詩さんです。福岡のアパレル業界で働いていた野田さんは都会での生活に疑問を覚え、人として生きることの原点を見つめたくなって農業を志しました。

そしてそれに最適な場所を求め、熊本は菊池市がその舞台だとIターン移住してきたのです。何のつても当てもない無謀な行動でしたが、そこで堤さんと出会ったのです。素直で何でも吸収してやまない野田さんを得て、堤さんは自分のすべてを野田さんに残そうと2人で健康農園を運営し始めました。

新しい時代には新しいユーザーの姿がある、とも堤さんは意識しています。それを野田さんの力を借りて感知し、次の世代への農業を確立させようとしているのです。

2人の挑戦はいよいよ佳境に入ってきているようです。

わが「ちゃーこからの菊池便り」でもそんなお二人と共闘する道を探らせて頂き、「ちゃーこからの菊池便り米」を発売させて頂きます。徹底した工夫で味を追求した「ちゃーこ米」、ぜひお試しください。


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ちゃーこからの菊池便りブログ

店主のちゃーこです。 熊本県菊池市でアート&雑貨&自然食品のお店を家族で営んでいます。 ちゃーこや取材担当のいぞうさんが商品の紹介や日々のことなどについて綴っていきます。

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